授業中、僕はぼんやりと窓の外を見ていた。
今は数学の授業、先生が問題の説明をしている。でも、僕はもう塾でそれは習った。だから聞かなくても平気だ。
いや、聞こうと思っても集中出来ない。
僕の席から見える、太陽の背中。
あの背中。あの体。あの、太陽。
どうしても、金曜日の夜の事を思い出す。僕に見られたいと言った太陽。僕の目の前で男の人達とセックスしている太陽。太陽の赤くてぬめぬめしたお尻の穴の中。僕の腕が入ったあのお尻の穴。
そんなことを繰り返し思い返す。
休み時間に友達と話している太陽。その口で男の人のちんこを咥えていた。
女子と笑顔で話す太陽。女子も笑顔だ。でも、太陽は男に入れられて気持ち良さそうな顔をしていた。誰も知らない太陽。僕しか知らない太陽。
「はぁ」
周りに聞こえないように、小さく溜め息を吐いた。

あの日、家に帰ったら家族はみんな寝ていた。だから、誰にも何も言われずに部屋に入ってそのまま寝た。太陽にしゃぶらせてそのままだ。シャワーだけでも浴びたいと思ったけど、音がしたら親が起きてきそうだし諦めた。その代わり、部屋でオナニーした。太陽の穴に腕を入れたのを思い出し、太陽にしゃぶらせたのを思い出す。
太陽の穴に腕を入れて、ボクブリの中で射精した。公園で太陽にしゃぶらせて太陽の口の中に出した。その割には、家のベッドでのオナニーもちょっとびっくりするくらいたくさん精液が出た。
それを太陽に飲ませたいと思った。そんな自分に少し驚いた。

朝、何時に帰ってきたのかお母さんに聞かれたけど、適当に答えてそれで終わりだった。
日曜日は普通に過ごす。でも、あのことが頭から離れない。ネットでそういうことを調べてみる。動画を探す。あっという間に時間が過ぎていく。夕方になるとちょっとドキドキし始める。
(明日、太陽はどんな顔で学校に来るんだろうか)
そして、
(明日、僕はどんな顔で学校に行けばいいんだろうか)
結局はいつも通り、ってことは分かってる。だけど、いつも通りに出来る自信が全然なかった。

なんてことは取り越し苦労だった。
別に教室で太陽が全裸になってる訳でもないし、僕はそれを見てボクブリの中で射精してしまう、なんてこともない。みんな普通だし、僕ももちろん普通だし、太陽だって普通だった。
ただ、僕は太陽と目が合わせられなかったし、太陽も少し僕を避ける感じ、というだけだ。そして授業が始まる。僕はぼんやりと外を眺める。微妙に勃起しかけている。

昨日、ネットで調べてみたことを思い出していた。
男同士とか、ゲイとか、SMとか。
いろいろな動画も見た。お尻の穴に腕が入っている動画とかも。

あんなことが普通に動画の中では行われていた。でも、それは大人の話だ。僕等のような中学生とかは出て来ない。たまに僕等くらいの奴がセックスしてる動画はあったけど、でも穴に腕が入ってる動画はなかった。
つまり、太陽は特別な変態なんだってことだ、たぶん。
どうやったらそんなことが出来るようになったのか、とかは正直興味はある。強姦されたいって気持ちもちょっと聞いてみたい気はする。でも、それを聞くのは怖い。怖いというのは、僕に興味を持たれているって太陽が思うんじゃないかってことだ。もしそう思ったら、太陽はますます僕に見られたいとか僕にされたいって思うようになるんじゃないだろうか。
やっぱり、ちょっと怖い。
あの人達といっしょに太陽を虐める。そういうのは少し想像する。でも、動画で見ていたようなことが目の前でやられてたりすると、たぶん、引いてしまうと思う。
動画で見たようなこと・・・・・

でも、あんなことが僕の目の前で実際に行われていた。そして、実際に僕もやっていた。太陽のお尻の穴に手を入れた。太陽にしゃぶらせた。
実際に、僕がそれをしたんだ。
でも、僕は引かなかった。
いや、むしろ・・・・・

僕は相変わらず授業中は少しぼおっとしていた。頬杖をついて、窓の外を見て、時々ちらっと太陽の背中を見る。
と、太陽がこっちを見ていた。目が合った。慌てて逸らそうとしたけど、逸らせなかった。いや、僕の方から目を逸らすのが、なんだか負けるような気がして逸らさなかった。
太陽の目が動いた。それにつれて顔も少し動く。教室の外の方を指しているような気がする。僕はそのまま太陽を見る。太陽の手が机の上から降りていく。机の下で、手を動かしている。
(マジか)
少し動揺した。太陽は股間を擦ってるっぽかった。ひょっとしたら、服の上から扱いているのかも知れない。いや、太陽だったら、机の下でちんこを出して握ってるかも知れない。
また太陽が僕を見た。目が笑っている気がする。僕の動揺を笑っているのかも知れない。
(太陽のくせに)
その時、お昼休みを告げるチャイムが鳴った。



教室の外に出ると、屋上に上がる階段の所に太陽がいた。恐らく僕を待っていたんだろう。
(あの目はそういう意味だったんだ)
僕が近づくと、太陽は階段を上がる。僕は黙って太陽の背中を追いかける。
「金曜日のこと、言うの?」
屋上の隅で、太陽が僕に尋ねた。
「言われたいの?」
僕は聞き返す。太陽は少しうつむいた。
「諒君が言いたいなら・・・」
その答えは卑怯だと思った。
「太陽はどうなの?」
少し声が大きくなった。
「太陽は言われたいの? それとも言われたくないの?」
声を落として続きを尋ねる。
「俺は・・・」
そして言った。
「言われたい」
その瞬間、僕は太陽の股間を握った。
「あっ」
太陽は案の定、勃起していた。
「言われたいんだ」
「うん」
「言ったら、太陽の人生終わるのに?」
「うん」
一体太陽は何を考えてるんだろうか。そんなに恥ずかしい目に遭いたいんだろうか。
「帰りのホームルームの時に言う」
太陽が顔を上げた。一瞬、あの気持ち良さそうな太陽の顔を思い出した。
「ホントに?」
「言われたいんでしょ?」
太陽はうなずいた。
「でも、ちょっと怖いかも」
「自分で言われたいって言ったくせに」
もう一度股間を握る。
「言われるって思っただけで、こんなに勃起させてるくせに」
そこは勃起し続けている。
「ちんこ出せよ」
太陽に言った。太陽は、なんの躊躇もなくズボンのチャックを下ろして勃起したちんこを引っ張り出した。僕は周りを見る。すぐ近くには人はいない。でも、ちょっと向こうには何人も生徒がいる。同じクラスの男子もいるし、いつも太陽と笑顔で話している女子だっている。そんなところで太陽は平気で勃起したちんこを出した。
「オナニーして」
太陽はちんこを扱き始める。それを僕は間近で見る。なんとなく、少し僕の体で太陽がしていることが他の奴等には見えないように遮る。
「はぁ」
太陽が少し声を出す。手が早くなっている。
「みんながいるところでして、そんなに気持ちいいんだ」
「うん」
太陽がうなずく。
「うぅ」
そして喘ぐ。
「そこで止めろ」
僕は命じた。太陽は僕の顔を見る。
「ここでイっちゃったら、ホームルームの時に出ないでしょ?」
それだけ言って、僕は太陽に背を向けて教室に向かった。
「待って」
太陽は慌ててちんこをズボンに仕舞って僕を追ってきた。階段で僕の横に並ぶ。
「それって、ホームルームでやれってこと?」
小さな声で僕に聞いた。僕は太陽を見る。
「さあ、どうかな」
にっと笑った。



午後の授業も相変わらずぼんやりとしていた。いや、頭の中で妄想していた。

「先生」
僕は手を上げる。
「安達、どうした?」
「太陽が・・・中田君が変態なんです」
教室が静まりかえる。
「男の人とセックスしてるの、みんなに見られたいそうです」
静かだった教室がざわつき始める。
「オナニー見てほしいそうです」
それを合図に、太陽が立ち上がって教卓の方に進み出る。僕は太陽を見てうなずく。
「俺のオナニー、見て下さい」
太陽が大きな声で言う。そして服を脱ぎ、あっという間に全裸になる。ちんこはもちろん勃起していて、ガマン汁がだらだらと垂れている。
「じゃ、オナニーします」
勃起したちんこを握る。
教室のあちこちでいろんな声がする。「マジか」だとか「ほんとにしてる」とか。女子の中には悲鳴を上げる者もいるし、顔を両手で覆っている者もいる。
「太陽、気持ちいいの?」
僕が尋ねる。
「はい、みんなに見てもらいながらオナニーして気持ちいいです」
太陽が大きな声で答える。
「ああっ気持ちいい」
扱きながら教室中を歩き回る。
「ほら、見て」
みんなに見せて回る。
「ああ、イきそう」
机の上に上がる。
「ああ、イくっ」
太陽は射精する。精液が教室中に飛び散り、雨のように降り注ぐ。
「はぁ、はぁ」
精液まみれの太陽が、笑顔で皆を見回す。最後に僕を見る。
「諒君」
僕は前に出る。そして太陽に命令する。
「四つん這いでお尻広げろ」
「はい」
太陽は机の上で四つん這いになって両手でお尻を広げた。
「お尻の穴、丸見えだね」
「はい、俺の肛門見られて嬉しいです」
「そうか」
僕は腕を捲る。その手を太陽のお尻に押し付ける。
「ああ、諒君」
僕は手に力を込める。そのまま太陽のお尻に押し付ける。みんなが息を飲む。
「ああっ」
ズボッと大きな音がして、僕の腕が太陽のお尻の穴の中に入った。みんなが騒ぎ立てる。
「太陽って変態」
「太陽ってこんなやつなんだ」
「太陽、頭おかしい」
太陽は気持ち良さそうな顔をしている。
「気持ちいいか?」
「はい、気持ちいいです!」
僕はお尻の中で拳を握る。それを一気に引き抜いた。
「ぐはぁっ」
絶叫する太陽。そしてまた、大量の精液が噴き出した。


そんなことを妄想している間に、午後の授業が終わってホームルームの時間が来た。
太陽がちらりと僕を見る。その表情は少し怯えているような、でも、八重樫さんに縛られたときのような、貪欲なぎらぎらした何かを感じる表情だった。
(本気で本気なんだ)
その表情を見て感じた。
(やっぱり本物の変態なんだ)
僕の心臓がどきどきし始めた。

「先生」
ホームルームが終わりに近づいたとき、僕は手を上げた。
「安達、どうした?」
先生が僕を見る。太陽も少しどきっとしたような表情で僕を見ている。
「あの」
そんな太陽の顔を見て、僕は少し間を置いた。
「なんだ?」
「あの、太陽が・・・」
先生の顔を見て、そして太陽の顔をチラリと見る。
「中田がどうしたんだ?」
僕はわざと時間を掛ける。太陽が少し口を開いて僕を見つめている。
(きっと、勃起してるんだろうな)
「あの・・・」
僕はさらに時間を掛ける。先生は僕を見つめている。
「あのっ 太陽と、中田君と席を替えてください」
僕は言った。
「なんだ、どうしてだ?」
「最近、目が悪くなってきたみたいで、ちょっと黒板の字が見えにくくて」
太陽の席は僕より前の方だ。僕の席よりは黒板が見やすいだろう。
「中田君とは話して、いいって言ってます」
僕は太陽を見る。太陽は驚いたような、少し安心したような顔に見えた。
「中田、本当か?」
太陽は立ち上がってうなずいた。
誰も気が付かなかったけど、そのとき太陽は間違いなく勃起していた。

実際のところ、僕は別に目は悪くない。今の自分の席でも十分黒板の字は見える。それに窓際だから外を眺めてぼんやりしていられるこの席が好きだ。でも、この席からだと太陽の背中が目に入る。あの時の太陽を思い浮かべてしまう。今日一日中そうだったみたいに、あの時の太陽を思い出して、勃起してしまう。授業が頭に入らない。いや、それよりも、勃起して、僕のボクブリの中がガマン汁でグチャグチャになってしまいそうだ。

「二人ともそれでいいのなら、明日から席を替わりなさい」
先生が言った。
「はい」
僕はうなずく。そして、ホームルームは終わった。

「言ってくれなかったんだ」
放課後、少し教室に残って僕等は席を入れ替えていた。他に残ってる奴に聞こえないように太陽が言った。
「言える訳ないだろ」
僕も小声で言う。
「そんなこと言ったら、僕まで変態扱いされるんだから」
太陽は不満そうだった。
「って、ホントに言われたかったんだ」
太陽はうなずいた。
「やっぱり変態だ」
「うん」
太陽が僕の手を掴んだ。それを股間に押し当てる。そこは当然、硬くなっている。
「本気だよ、俺は」
僕はしばらくそこの熱さを感じていた。
「僕を巻き込むな。早く部活行けよ」
太陽が僕を睨んだ。
「俺が本当のこと言ったらどうなるか、諒君だって分かるだろ」
早口で、小さな声で言った。
「それって・・・脅し?」
太陽がカバンを持った。
「さあね」
そう大きな声で言って、教室を出て行った。


      


index